看護師になったばかりの新人だけど、『もしかして適応障害?』『適応障害の診断がついた』という方は、無理せず対策しましょう。新人でも辞めている人は8.6%もいます。
以下の記事でも新人看護師の退職理由を解説しています。
▶︎新人看護師が実際に辞めた理由と辞めたい理由
当てはまる新人看護師は適応障害の可能性あり
既に診断済みの方もいると思いますが、「もしかして適応障害かも?」と疑問に思っている方もいらっしゃるのはないでしょうか。
適応障害の定義は以下の通りです。
日常生活の中で、何かのストレスが原因となって心身のバランスが崩れて社会生活に支障が生じたもの。原因が明確でそれに対して過剰な反応が起こった状態をいう。
適応障害 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
日常生活の中で起こった出来事や環境に対してうまく対処できず、心身に様々な症状が現れて社会生活に支障をきたす状態をいいます。ストレスの原因が明確であることが定義上重要となります。
症状はゆううつな気分、不安感、頭痛、不眠など、人によって様々ですが、仕事や学業などを続けたり、対人関係や社会生活を続けることに問題のある状態となります。これらは一般的には正常な人にも現れる症状ですが、適応障害の場合はそれを超えた過敏な状態となります。
治療にはまず原因となっているストレスを軽減し、心理的に回復させることが必要です。また、場合によっては薬物療法が必要なこともあります。
当てはまったら休みを取ったり心療内科を受診したりしましょう。
新人看護師が適応障害になる原因と理由
新人看護師が適応障害になる原因と理由です。
まずは、研究を紹介しますね。
新卒看護師の早期退職者を分析した研究
自記式質問調査(バーンアウト、アサーティブネス、ストレスフルなライフイベント、リアリティショック、診療領域希望,転職希望,職務満足(職場,給料,仕事法,超過勤務)を実施し、有効回答の得られた新卒看護師を対象として退職者を確認した研究です。
多重ロジスティック間滞分析の結果,退職の影響要因は,バーンアウト,職場への不満であった。
鈴木 英子, 吾妻 知美, 叶谷 由佳, 香月 毅史, 佐藤 千史,大学病院に勤務する新卒看護師の早期退職の影響要因に関する縦断研究,日本看護研究学会雑誌,2006 年 29 巻 3 号 p. 3_127
調査時期が2003年6月と少し古い研究なのですが、新卒看護師の退職の影響要因はバーンアウトと職場への不満であるとされています。
また、先行研究について、「リアリティショックだけでは説明できなかった」とされており、リアリティショックだけではないけれど影響するということが考察できます。
先行研究では,新卒看護師におけるバーンアウトリスクには複数の要因が影響しており, リアリティ・ショックだけでは説明がつかなかった。
鈴木 英子, 吾妻 知美, 叶谷 由佳, 香月 毅史, 佐藤 千史,大学病院に勤務する新卒看護師の早期退職の影響要因に関する縦断研究,日本看護研究学会雑誌,2006 年 29 巻 3 号 p. 3_127
理想とのギャップ(リアリティショック)
看護師の仕事自体がイメージよりも過酷で、理想とのギャップがストレスになってしまうパターンです。新人看護師に多いです。
また、これらもギャップとなり得ます。
・思うような看護ができない
・十分な指導をしてもらえない
・思った以上に責任が重い
・プレッシャーが辛い
バーンアウトシンドローム(燃え尽き症候群)
新卒看護師に多いとされているバーンアウト。
簡単に言うと、「頑張りすぎて燃え尽きてしまった」ような状態です。
厚生労働省のe-ヘルスネットでのバーンアウトシンドローム(燃え尽き症候群)の定義は、以下の通りとなっています。
それまでひとつの物事に没頭していた人が、心身の極度の疲労により燃え尽きたように意欲を失い、社会に適応できなくなること。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-047.html
また、バーンアウトとは、Maslach Burnout Inventory(MBI)により「情緒的消耗感」 「脱人格化」 「個人的達成感の低下」 の3つの症状から定義されています。
情緒的消耗感
情緒的消耗感は、バーンアウトの中でも主症状と言われており、情緒的資源を要求された結果生じる情緒的消耗感とされています。
簡単に言うと、「先輩看護師に認められたいから常に気遣いすぎてしまう」「患者さんの気持ちを考えすぎて疲れてしまう」というような状態です。
脱人格化
脱人格化とは、前述した情緒的消耗が起きると、次に情緒的資源の節約が起きます。
たとえば, クライエントに症状名やステレオタイプ的な特徴など没個性的なラベルをつけ, 個人名で呼ばなくなるなどの行動は, 脱人格化の典型的な行動とされている。
バーンアウト (燃え尽き症候群) ヒューマンサービス職のストレス(PDF)
他人の気持ちを考えすぎて消耗した結果、今度は他人をモノ扱いしてしまうということですね。
これ以上の情緒的消耗を防ぐ、防衛反応の1つであるとされています。
個人的達成感の低下
個人的達成感の低下は、脱人格化の次に起こる症状で、簡単に言うと仕事の質が著しく下がってしまうということです。
誠心誠意、レベルの高いサービスをしていた(先輩看護師を気遣うなど)のに、報われないと当然どうでもよくなってしまいますよね。
その結果、休職や退職につながってしまいます。
ブラック病院
元々ブラック業界とも言われている看護師。ブラック病院でストレスが溜まるのは当然です。
ブラック病院の特徴として、超過勤務が多い、仕事量が多く、休憩が少なすぎるなどが挙げられます。
その上、人間関係のストレスや体調不良が加わるとかなり辛くなります。
先輩が怖い・人間関係
先輩に異常に怖い人や嫌がらせをしてくる人が1人でもいるとPTSD / 心的外傷後ストレス障害にもなりかねません。
看護師特有の人間関係で辛くなってしまうのは普通です。
逆にそういうのが楽しいと感じる人がいたとしたら、そっちが異常なのですが、被害者がメンタル弱いと考えられてしまうのは悔しいですよね。
共感能力が高すぎる(HSP)
共感能力が高いHSPだと、患者さんや患者さんの家族の立場になって過剰に共感してしまい、精神的に消耗してしまいます。
慣れもありますが、目の前で患者の死を見るのがどうしても辛いのであれば生死に関わりにくい診療科やクリニックを選んでみてください。
HSPについてはこちらの記事でも解説しています。
看護師は優しい人が辞めるのはなぜ?優しい看護師はHSPだから辞めたくなる理由
新人看護師が適応障害になった時の対処法
新人看護師が適応障害になったかなと思ったら、できれば病院を受診して診断書をもらいましょう。
その上でできる対処法を解説していきますね。
部署異動をお願いしてみる
病院全体に問題があるわけでなく、どうしても嫌な人がいたり、どうしてもやりたくない仕事だったり、部署移動ができれば解決しそうなのであれば、まず初めに検討してみてください。
・お願いしても無理だった
・お願いできそうにない
・病院自体が腐っている
こんな場合は他の方法を考えてみてください。
とりあえず休職してから復職を考える
診断書があれば、とりあえず休職してみるのもありです。
過労で休んだら治ることもあります。
それでも治らなかったり、どうしても今の環境が辛ければ転職を考えてみてください。
看護師は転職が多い業界で、新人で転職しても違和感はありませんし、常に人手不足で資格があるため、復職できないということはありません。
転職先を探すのは、働きながらでも休職してからでもできます。
転職サイトは無料で使えて情報収集が可能です。
少しでも気になったら相談してみてください。
パートや派遣になる
経済面などで休職が難しい場合は、時短勤務を考えてみてください。
パートや派遣ナースがあります。人手不足のところにスポットで入る応援ナースも重要な存在です。きっと役に立てます。
▶︎応援ナース・トラベルナースはしんどい?実態、メリットとデメリットを解説
▶︎派遣看護師って楽しいの?派遣看護師あるあると実態、メリット・デメリット
レバウェル看護派遣やMCナースネットでは、ツアーナース・健診や応援ナースの求人を扱っていますので、よろしければチェックしてみてください。
比較的楽な病院に転職
ブラック病院や急性期で辛くなっている方は、もう少し余裕のある病院への転職を考えてみてください。
楽すぎ?のんびり楽しく働きたい看護師におすすめの働き方と穏やかな職場
単に過労なだけかもしれません。
休みや睡眠が十分に取れれば治ってしまうこともあります。
新人で辞めて幸せになった看護師もいます。
新人看護師が辞めた後に幸せになったパターンとは?幸せになる方法
夜勤なしクリニックや美容看護師に転職
夜勤で生活のリズムが狂ってしまうのが体質的に合わない方もいます。
工夫で対応できる分にはいいのですが、どうやっても合わない人もいます。
どこで働く看護師も必要不可欠です。
無理せずワークライフバランスが取れる仕事にシフトしてみてはいかがでしょうか。
美容看護師については以下の記事で解説しています。
美容看護師になるには?仕事内容・収入・適性を解説
美容看護師の求人を取り扱っている転職サイトおすすめ3選
看護師自体を辞める
看護師自体を辞めてしまいたい方もいらっしゃると思います。
せっかく資格を取ったので、即決できない方もいらっしゃると思います。
戻りたくなったら出戻りするのもありですよ。
新人看護師が適応障害になったら退職・休職・異動はすべき?
結局、退職・休職・異動の行動を取るべきなのか悩む方もいるかと思いますが、ご自身の健康状態を一番に優先するべきだと思います。
生きるために仕事をしているのであって、仕事をするために生きているのではありません。
真面目な人ほど我慢してしまいますが、我慢しすぎて病気になってしまい、取り返しがつかないことにもなりかねません。
我慢していても、状況は変わりません。
このままだったら辛いまま人生が終わると感じるのであれば、何らかの行動はすべきです。
これ!って決めてから行動しても、予想通りにならないこともしばしば。
何もせず考え込むよりは、情報収集しながらどれが1番いいのか考えていく方が自分に最適な選択をすることができます。
情報収集したい場合は、下記の転職サイトを参考にしてみてください。
無料で使えますし、登録したからといって必ず転職する必要はありません。
新人看護師が適応障害で休職や退職する原因と理由、対処法は以上となります。
よろしければ以下の記事も読んでみてください。