HSPとは?HSPの定義と心が繊細な看護師の特徴を解説

HSPとは?繊細な看護師の特徴を解説

生まれつき繊細な心を持つ『HSP』。
もしかしたらHSPかも?と感じている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、HSPの定義、HSP気質の看護師の特徴を紹介します。HSP看護師がなぜ辛いのか知って対策しましょう。

※本当に辛い人は心療内科などを受診することをおすすめします(HSPは心理学的な概念であるため、HSP自体を病院で診断することはできません)。
この記事はあくまで自己理解のために活用してみてください。

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目次

HSPとは?簡単に解説

HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)とは、米国の心理学者エレイン・N・アーロン博士が提唱した心理学的な概念で、「生まれつき刺激に非常に敏感で、感受性が高い人」を指します。

病気や障害ではなく、生まれ持った気質の一つです。人口の約15〜20%、つまり5人に1人がHSPに該当すると言われています。HSPは病気ではないため、医学的な診断はありません。

以下は、HSPを研究する心理学者、飯村周平さんらが運営するサイトでのHSPの説明です。

HSP(Highly Sensitive Person)あるいはHSC(Highly Sensitive Child)とは、環境感受性がとくに高い人たちを表すラベルです。

Japan Sensitivity Research

研究では、感受性の高いグループにあたる人たち(上位30%程度)をHSP/HSCとラベリングして、その心理的特徴を調べることがあります。

Japan Sensitivity Research

一般的にHSPの人は、以下のような特徴を持つことが多いです。

  • 五感に敏感で、音や光、匂いなどに強く影響を受けやすい(聴覚過敏など)
  • 物事を深く考えすぎる、些細なことも気にしすぎる
  • 共感力が高い、他人の感情に深く感情移入しやすい
  • 感動したり、悲しい時に涙が出やすい
  • 新しい環境や人に対して緊張しやすい

なぜ繊細?

なぜ繊細なのかというと、感情や情動反応を処理する脳の部位である「扁桃体」が、生まれつき過剰に働きやすいことが原因だと考えられています。

このため、人よりもストレスを感じやすい傾向にあります。

HSPの4つの特性『DOES(ダズ)』とは?

アーロン博士は、HSP気質を持つ人に共通する4つの特性を「DOES(ダズ)」として提唱しています。

これらの特性が全て当てはまる人は、HSPである可能性が高いと言えるでしょう。

1、深く処理をする(Depth of Processing)

物事を広く深く、多くの情報を丁寧に処理して考えます。

そのため、一つのことを理解するのに時間がかかります。

「もたもたしている」と急かされた経験がある方も多いのでは?

2、感覚過敏で刺激を受けやすい(Overstimulation)

五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)が非常に優れています。

美しいものや芸術作品に深く感動できる反面、大きな音や強い光、混雑した場所など、外部からの刺激に弱く、非常に疲れやすい傾向があります。

医療機関は、とくに音や匂いの刺激多めですよね・・・

3、感情の反応が強く、共感力が強い(Emotional response and empathy)

他人の感情や状況を敏感に察知し、深く共感する能力に長けています。

まるで自分のことのように相手の気持ちを理解できるため、周囲の人からは「優しい人」と評価されることが多いでしょう。

患者さんの気持ちを察して寄り添える方も多いのではないでしょうか?

4、些細な刺激を察知する(Sensitivity to Subtleties)

体性感覚が優れており、他の人が気づかないような微細な変化やサインにも敏感に気づきます。

空気の変化や人の表情のわずかな変化なども見逃しません。

「いつもと違う」といった些細な変化に気づいて異常の早期発見につながることも!

HSPには分類がある:『HSS型』と『HSE(外向型HSP)』

HSPの中でも、人と関わるのが好きな人と、人と関わるのが苦手な人がいます。

そういった違いを区別するものとして『HSS型HSP』や『外向型(HSE)』の分類があります。
HSS型はマービン・ズッカーマン博士、外向型(HSE)はジャクリーン・ストリックランド氏が提唱しました。

日本では、「HSP(全体を含む)」、「HSS型HSP」の言い方が一般的かと思います。

HSS型(マービン・ズッカーマン博士が提唱)

HSSとは、『High Sensation Seeking(ハイ・センセーション・シーキング)』の略で、刺激追求型を意味します。
繊細な気質を持ち、かつ刺激を求めるHSPを『HSS型HSP』と言います。

HSS型HSPは、繊細で敏感なHSPの特性を持ちながらも、新しい刺激や変化を積極的に求めるという、一見矛盾した特性を併せ持つタイプです。
HSS型HSPは、全体のHSPの約3割程度を占めると言われています。

特徴としては、以下のようなものが挙げられます。

好奇心旺盛で行動的新しいことへの挑戦、旅行、趣味など、刺激的な活動を好みます。
退屈を嫌う変化のない単調な状況にストレスを感じやすいです。
リスクを取ることに抵抗がない 新しい経験のためなら、ある程度の困難やリスクもいとわないことがあります。
刺激過多になると疲弊する刺激を求める一方で、HSPとしての繊細さから、過度な刺激や人混みなどによって非常に疲れやすく、ダウンしてしまうことがあります。
矛盾に悩む刺激を求めて行動した結果、心身ともに疲弊してしまうため、「なぜ自分はこんなにも疲れるのか」「自分がおかしいのではないか」といった葛藤を抱えやすい傾向があります。

HSE(ジャクリーン・ストリックランド氏が提唱)

HSEとは、『Highly Sensitive Extroversion(ハイリー・センシティブ・エクストロバージョン)』の略で、HSPの繊細さを持ちながらも、外向的な性質を併せ持つタイプを指します。「外向型HSP」とも呼ばれます。

HSPの70%が内向型タイプ、30%が外向型タイプと言われています。
一般的なHSPのイメージとして内向的で静かな場所を好むというものがありますが、HSEはそうとは限りません。

特徴としては、以下のようなものが挙げられます。

社交的で人との交流を好む人とのコミュニケーションや集団行動を楽しむ傾向があります。
リーダーシップを発揮することもある人の気持ちを察する能力や共感力の高さから、グループのまとめ役やリーダーを任されることもあります。
人と会うことでエネルギーが回復する内向的なHSPが一人になることでエネルギーをチャージするのに対し、HSEは人との交流から活力を得ることがあります。
刺激過多になると疲弊するHSPの特性を持つため、人との交流や外部からの刺激が多すぎると、HSPと同様に疲れやすく、消耗してしまうことがあります。
人との関わりの中でストレスを感じる人に気を遣いすぎたり、相手の感情に深く共感しすぎたりすることで、精神的な疲労を感じやすいです。

4つの分類の特徴

HSPは内向的・外向的、そして刺激追求型かそうでないか、という2つの軸で4つのタイプに分類されることがあります。

HSP(非HSS型HSP): 繊細で内向的、刺激を求めないタイプ。
HSS型HSP: 繊細で内向的だが、刺激を求めるタイプ。
HSE(非HSS型HSE): 繊細で外向的、刺激を求めないタイプ。
HSS型HSE: 繊細で外向的、かつ刺激を求めるタイプ。

これらのタイプ分けは、特性を理解し、より良い生き方を見つけるための手助けとなります。
ご自身の気質を深く理解することで、無理なく、より快適な生活を送るヒントが得られるでしょう。

HSP(非HSS型HSP、内向的)

HSPの主な特徴は以下の通りです。

  • 内向的で、人との交流をあまり好まない傾向がある
  • 新しい刺激や変化を積極的に求めない
  • 静かで落ち着いた環境を好む
  • 一人で静かに過ごす時間を大切にする
  • 安全で安心できる状況を重視する
  • 控えめな性格

HSS型HSP(内向的)

HSS型HSPの主な特徴は以下の通りです。

  • 明るく活発に見えるけど、一人になると深く考え込む
  • 何も考えていないように見えて、実は頭の中で多くのことを処理している
  • 一時的にはしゃぐけど、すぐに疲れてしまう
  • 新しいことへの好奇心旺盛だけど、すぐ飽きてしまう
  • 社交的な面と内向的な面を両方持つ
  • みんなでワイワイするのも好きだけど、一人で過ごす時間が必須
  • ルーティンワークや単純作業が苦手

HSE(非HSS型HSE、外向的)

HSE(Highly Sensitive Extrovert)は、いわゆる「非HSS型HSE」として知られています。
外向的でありながらも、繊細な気質を持つのが特徴です。

HSEの主な特徴は以下の通りです。

  • 人との交流を積極的に楽しむ一方で、繊細な感受性も持ち合わせる
  • 刺激を求めるが、圧倒されると疲れを感じやすい
  • 社交的で活動的だが、内面では深く思考を巡らせる
  • 新しい経験や人との出会いを好み、積極的に行動する
  • 周囲の雰囲気や感情に敏感で、共感性が高い
  • 外向的な活動と、静かに内省する時間のバランスを重視する

HSS型HSE(外向的)

HSS型HSEは、「刺激追求型」の外向的な繊細さんです。
外向的で新しい刺激を積極的に求める一方で、HSEと同様に繊細な感性も持ち合わせています。

HSS型HSEの主な特徴は以下の通りです。

  • 明るく活発に見えて、実は内心では深く物事を考えている
  • 何も考えていないように見えても、頭の中では多くの情報を処理している
  • 一時的に熱中するが、すぐに疲れてしまう傾向がある
  • 新しいことへの好奇心旺盛で、多趣味な面があるが、熱しやすく冷めやすい
  • 社交的で積極的に人と関わるが、一人の時間も不可欠
  • グループでワイワイするのも好きだけど、一人の時間を大切にする
  • ルーティンワークや単調な作業には苦手意識がある

HSP看護師の特徴

ここからは、HSPの看護師の特徴を解説します。

あなたが当てはまるかどうかの参考にしてみてください。
つらい理由が分かるだけでも楽になると思いますし、原因が分かったら対処しやすくなるかと思います。

患者さんとじっくり関わるのが得意

共感力や洞察力が高いため、患者さんの話をよく聞き、じっくりと関わることが得意です。

寄り添う看護」はHSPの得意分野です。

急変に気付きやすい

些細な変化を見逃さず、「いつもと違う」「なんか変」がわかります。
この特性があるため、急変に気付きやすく早期発見をすることができます。

誠実で丁寧な仕事ができる

看護師の仕事は人の命や健康に関わるため、誠実で丁寧な仕事ができるということはとても重要です。

教育に向いている

他人の立場で物事を考えるのが得意なため、教育をする側としても向いています

例えば「自分が新人の頃はこんなことを感じてたからこうしよう」「後輩の反応を見てどんな言葉をかけたらいいかな」ということが分かり、教育に活かすことができます。

早くして、遅いと言われがち

メリットもある一方で、環境に合わず、適応しにくいケースもあります。

HSP気質だと色々な情報を受け取って、多くの情報を考慮してから理解します。
このため、どうしても物事の判断が遅くなりがちです。

テキパキ判断しなければならない場面が多い環境だと、つい「早くして」「遅い」などと言われがちです。

たくさんの仕事にあたふた

HSPは1つの物事を深く考えるのが得意な反面、マルチタスクが苦手な傾向にあります。

一度にたくさん注意をすることがあると、混乱してあたふたしてしまいがちです。

仕事を断れない・頼めない

相手に気を使いすぎてしまい、仕事を断れず、頼むことも苦手な人が多いです。

仕事を断らず、頼まずに自分で全部やろうとすると、キャパオーバーになって場合によっては体調を崩してしまいます。

機嫌が悪い人に影響される

共感力が高いため、機嫌が悪い人に影響されやすく自分まで機嫌が悪くなってしまいがちです。

とくに、忙しくて患者の命に関わる職場ではピリピリ・イライラムードの看護師が多く影響されやすくなってしまいます。

言葉を真に受けすぎる

些細な反応にも気付きやすく、言動の意味を考えすぎてストレスになってしまうことがあります。

何気ない一言をぐるぐる考えてしまう人も多いのではないでしょうか。

職場環境に左右されやすい

HSP気質の看護師は環境からの影響を受けやすいです。
職場の環境次第で鬱になったり、楽しくてしょうがない状況になったりします。

ピリピリとした環境で工夫することもできますが、工夫しなくても自然体で仕事ができる方がストレスも少なく、自分の得意なところを活かしやすいです。

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まとめ

HSPならではの共感力細やかな観察力深く考える力は、急性期の現場で患者さんに質の高いケアを提供する上で大きな強みとなり得ます。
しかし、同時に過度な刺激や感情の渦に巻き込まれるリスクも存在します。

HSPの特性を活かすには、まず自分の強みと弱みを知って工夫をしていくことが大切です。


文献
Aron, E. N., & Aron, A. (1997) Sensory-processing sensitivity and its relation to introversion and emotionality. Journal of Personality and Social Psychology, 73, 345–368

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