【看護師】リハビリ病院は精神的には楽、体力的にはきつい【メリット・デメリット解説】

「リハビリ病院の看護師って、楽なの?」 「精神的に楽って聞くけど、実際どうなんだろう?」

このような疑問をお持ちの看護師の方も多いのではないでしょうか。
リハビリ病院は、急性期病院とは異なる働き方や役割があり、命に関わる場面が少ないため精神的な負担が少ないと感じる看護師が多い一方で、体力的なきつさを感じる場面もあります。

この記事では、リハビリ病院(回復期リハビリテーション病棟)で働く看護師の仕事内容から、やりがい給料メリット・デメリット、そして向いている看護師の特徴まで、詳しく解説していきます。

目次

回復期リハビリステーション病院とは?

回復期リハビリテーションステーション病院とは、自宅や職場への復帰を目指し、ADL(日常生活動作)の自立のためにリハビリを行う病院のことです。

急性期病院で行われているような介護が必要なくなり、急性期病院での治療が終了した後、まだリハビリが必要な患者さんが対象となります。

看護師は、リハビリ専門医、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、介護士、ソーシャルワーカー等とチームとなって支援し、自立を目指します。

回復期リハビリテーション病棟・リハビリ病院(回リハ)看護師の仕事内容

回復期リハビリテーション病棟、通称「回リハ」は、病気や怪我で急性期治療を終えた患者さんが、在宅復帰を目指して集中的なリハビリテーションを行う病棟です。

ここでは、患者さんの生活再建を多職種でサポートするため、看護師の役割が非常に重要になります。

主な勤務先

  • 回復期リハビリテーション病院(単科病院):リハビリテーションに特化した専門病院です。
  • 総合病院内の回復期リハビリテーション病棟:急性期治療を終えた患者さんが、院内でそのままリハビリに移行できる体制の病院です。
  • リハビリテーションセンター:大規模なリハビリテーション施設です。

看護師が行う主な仕事

回リハの看護師の仕事は、患者さんの「生活の再構築」を支えることです。単なる医療行為だけでなく、日常生活援助やリハビリテーションのサポートが中心となります。

  • バイタルサインチェック・身体状況の観察:患者さんの全身状態を把握し、異常の早期発見に努めます。特に、リハビリ中の体調変化には注意が必要です。
  • 服薬管理:患者さんの疾患に応じた薬の管理と内服の介助を行います。
  • 清潔ケア(入浴介助・清拭など):患者さんの身体を清潔に保ち、快適な入院生活をサポートします。自立度を高めるため、患者さん自身の力で行える部分は促します。
  • 排泄ケア(トイレ介助・おむつ交換など):患者さんの排泄状況を把握し、自立に向けた排泄リハビリテーションを支援します。
  • 食事介助:摂食・嚥下機能に合わせた食事形態の準備や、安全に食事が摂れるよう介助します。栄養状態の管理も重要な役割です。
  • 体位変換:褥瘡予防のため、定期的な体位変換を行います。
  • リハビリテーションへの参加促進と見守り:リハビリテーション室での訓練だけでなく、病棟内での自主訓練を促したり、安全にリハビリが行われるよう見守ります。
  • 多職種連携:医師、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、医療ソーシャルワーカー(MSW)など、多職種と密に連携し、患者さんの情報共有や目標設定、退院支援を行います。
  • 家族指導・退院支援:患者さんやご家族に対し、退院後の生活や介護に関する指導、社会資源の紹介などを行い、円滑な在宅復帰をサポートします。

看護師が行う可能性のある業務

上記以外にも、リハビリ病院では以下のような業務を行う可能性があります。

  • レクリエーションの企画・実施:患者さんの気分転換や意欲向上を目的としたレクリエーションを企画・実施することがあります。
  • カンファレンスへの参加:患者さんの退院に向けたカンファレンスに積極的に参加し、看護の視点から意見を述べます。
  • 日常生活動作(ADL)の評価:患者さんのADL(着替え、歩行、食事など)の現状を評価し、リハビリの進捗状況を把握します。
  • 介護職のサポート:介護職の業務をサポートし、連携して患者さんのケアにあたります。

リハビリ病院看護師のやりがい

リハビリ病院の看護師は、患者さんの「回復」と「在宅復帰」を間近でサポートできるという大きなやりがいがあります。

  • 患者さんの回復過程に寄り添える:急性期病院のように目まぐるしい変化ではなく、患者さんが少しずつできることが増えていく過程を、時間をかけて見守ることができます。
  • 患者さんの笑顔が見られる:今までできなかった動作ができるようになったり、自宅に帰れるようになったりする患者さんの喜びを共に分かち合えるのは、何物にも代えがたい経験です。
  • 生活に密着した看護ができる:医療処置よりも、患者さんの生活の質向上に直接的に貢献できるため、看護の専門性を発揮しやすい環境です。
  • 多職種連携の面白さ:様々な専門職と協力しながら、チームで患者さんを支えることで、広い視野と多角的な視点を持つことができます。
  • 患者さんの「人生」に深く関わる:患者さんの日常生活や精神状態まで深く関わることで、より人間味あふれる看護を実践できます。

リハビリ病院看護師の給料

リハビリ病院の看護師の給料は、一般的に急性期病院と比較してやや低い傾向にあると言われます。これは、夜勤回数が少なかったり、緊急入院や急変が少ないため残業や手当が少ないことが要因として挙げられます。

しかし、地域や病院の規模、経験年数、役職によっても大きく異なります。ボーナスや各種手当(住宅手当、通勤手当、資格手当など)を含めると、生活に困らない程度の給料は期待できます。

実際の給料は、求人情報を確認したり、転職サイトに相談したりすることで、より具体的な情報を得ることができます。

リハビリ病院で必要なスキル・身に付くスキル

リハビリ病院で働くことで、看護師として様々なスキルを身につけることができます。

必要なスキル

  • コミュニケーション能力:患者さんやご家族、多職種との円滑なコミュニケーションが不可欠です。
  • 観察力:患者さんのわずかな変化や、リハビリによる効果、潜在的なリスクなどを的確に捉える力が必要です。
  • アセスメント能力:患者さんの状態を総合的に判断し、適切なケアプランを立案する能力が求められます。
  • 生活援助のスキル:日常生活援助が中心となるため、その知識と技術が重要です。
  • チームワーク:多職種と協働するため、チームの一員として貢献する姿勢が大切です。
  • 忍耐力と継続力:患者さんの回復には時間がかかるため、根気強くサポートする忍耐力が必要です。

身に付くスキル

  • 患者さんのADLを向上させるための知識と技術:日常生活援助を通して、患者さんの自立を促すスキルが向上します。
  • 生活指導・退院支援のスキル:患者さんが安心して在宅復帰できるよう、具体的な指導や情報提供を行うスキルが身につきます。
  • 多職種連携のスキル:様々な専門職との連携を通じて、包括的な視点や調整力が養われます。
  • 精神的ケアのスキル:患者さんやご家族の精神的なサポートを通して、傾聴力や共感力が深まります。
  • 患者さんの意欲を引き出すスキル:リハビリへのモチベーションを維持向上させるための声かけや関わり方が身につきます。

看護師がリハビリ病院で働くメリット

リハビリ病院で働くことは、看護師にとって多くのメリットがあります。

  • 精神的なゆとりがある:急性期病院のような緊急性の高い処置や急変が少なく、じっくりと患者さんと向き合う時間が持てます。精神的なストレスが少ないと感じる看護師が多いでしょう。
  • 患者さんの回復過程に寄り添える:患者さんが「できるようになった」という喜びを共有できるのは、大きなやりがいにつながります。
  • 役に立てる、感謝される:患者さんが回復していく過程で、役に立てることがやりがいに感じられる場合には苦痛にはならないでしょう。
  • 残業が少ない傾向にある:計画的な入院・退院が多いため、突発的な業務が少なく、定時で帰りやすい環境です。ワークライフバランスを重視したい方には魅力的です。
  • 夜勤回数が少ない、または夜勤がない場合がある:日勤のみの求人や、夜勤回数が少ない病棟も存在します。
  • スキルアップの機会が多い:リハビリテーションに関する専門知識や、生活援助、多職種連携のスキルなど、幅広い知識と技術を習得できます。
  • 患者さんとじっくり関われる:一人ひとりの患者さんと深く関わり、信頼関係を築きやすい環境です。
  • 定着率が高い傾向:精神的負担が少ないためか、長く働き続ける看護師が多い傾向にあります。

看護師がリハビリ病院で働くデメリット

一方で、リハビリ病院ならではのデメリットも存在します。

  • 体力的なきつさがある:ADL改善段階ではかなりの介助が必要なため、大変と感じる看護師もいます。移乗介助や体位変換など、身体介助が多く、体力を使う場面が多いため、身体的な負担を感じることがあります。
  • 受け持ちが多い:医療処置が少ないため、看護師1人に対する受け持つ患者さんが多く、13:1や15:1となり、一般的な急性期病棟(7:1または10:1)と比較すると受け持ちの患者さんが多くなります。
  • 医療処置のスキルが身につきにくい:点滴管理や急変対応などの医療処置を行う機会が急性期病院と比較して少ないため、医療処置のスキルを維持・向上させたい方には物足りないかもしれません。
  • 給料が急性期病院より低い傾向:前述の通り、夜勤手当や残業手当が少ないため、給料が低くなる可能性があります。
  • マンネリを感じやすい人もいる:業務内容がルーティン化しやすいため、新しい刺激を求める方には、単調に感じることもあるかもしれません。
  • 患者さんの回復が停滞することもある:リハビリの効果がなかなか現れない患者さんに対し、精神的に疲弊してしまうこともあります。
  • ご家族への対応に時間を要する:退院後の生活支援や不安を抱えるご家族への丁寧な説明が求められるため、コミュニケーションに労力を要する場合があります。

リハビリ病院の看護師のスキルアップ資格

リハビリ病院で働く看護師にとって、専門性を高めるための資格はキャリアアップに繋がります。

回復期リハビリテーション認定看護師

回復期リハビリテーション分野における専門的な知識と技術を持ち、患者さんの回復過程を支援するエキスパートです。病棟内での指導的役割を担うことも多く、チーム医療の中心として活躍できます。

日本運動器看護学会認定運動器看護師 (JSMNC)

運動器疾患を持つ患者さんへの専門的な看護を提供する認定資格です。骨折や関節疾患など、運動器に問題を抱える患者さんが多いリハビリ病院において、専門性を発揮できる資格です。

慢性腎臓病療養指導看護師

慢性腎臓病(CKD)患者さんへの専門的な知識と指導技術を持つ看護師の資格です。リハビリ病院にも腎臓病を合併している患者さんは多く、食事指導や水分管理、透析導入に関する指導など、生活に密着したケアに役立ちます。

栄養サポートチーム(NST)専門療法士

患者さんの栄養状態を改善・維持するために、医師、管理栄養士、薬剤師などと連携して栄養管理を行う専門職です。リハビリテーションの効果を最大限に引き出すためには、適切な栄養管理が不可欠であり、この資格は多職種連携の中で大いに貢献できます。

リハビリ病院は楽しい?向いてる看護師

リハビリ病院での仕事は、以下のような特徴を持つ看護師にとって「楽しい」と感じられるでしょう。

  • 患者さんの回復をじっくりと見守りたい方:日々の変化は小さくても、積み重ねによって患者さんが回復していく過程に喜びを感じる方。
  • 患者さんやご家族と深く関わりたい方:一人ひとりの患者さんの人生や背景に寄り添い、信頼関係を築きたい方。
  • 生活に密着した看護に興味がある方:医療処置よりも、日常生活援助や生活指導を通して患者さんの生活の質を高めることにやりがいを感じる方。
  • ワークライフバランスを重視したい方:残業が少なく、プライベートの時間を確保したい方。
  • 多職種と協力して働きたい方:医師、PT、OT、ST、MSWなど、様々な専門職と連携しながらチームで患者さんをサポートしたい方。
  • 精神的なストレスを軽減したい方:急性期病院のような緊急性の高い業務が苦手な方や、精神的なゆとりを持って働きたい方。

リハビリ病院はきつい?向いてない看護師

一方で、リハビリ病院での仕事は、以下のような特徴を持つ看護師にとっては「きつい」と感じる可能性があります。

  • 身体介助が苦手な方:移乗介助や体位変換など、体力を使う身体介助が多いので、体力に自信がない方や身体介助が苦手な方にはきついかもしれません。
  • 医療処置のスキルを磨きたい方:急性期病院に比べて医療処置の機会が少ないため、手技を多く経験したい方には物足りなさを感じるでしょう。
  • 給料を最優先したい方:急性期病院と比較して給料が低い傾向にあるため、収入を重視する方には不向きかもしれません。
  • ルーティンワークが苦手な方:業務内容が比較的ルーティン化しているため、常に新しい刺激を求める方には単調に感じられることがあります。
  • 即効性のある効果を求める方:リハビリは長期的な視点が必要であり、すぐに目に見える効果が出にくいこともあります。短期間での成果を求める方にはもどかしいかもしれません。

まとめ

リハビリ病院の看護師は、患者さんの「回復」と「生活再建」をサポートする、非常にやりがいのある仕事です。
精神的なゆとりを持って患者さんと深く関われる一方で、体力的なきつさを感じる場面もあります。

精神的な負担が少ないと感じる「楽」な側面と、身体的な負担が大きい「きつい」側面を理解した上で、ご自身のキャリアプランや求める働き方と照らし合わせてみてください。

もし、あなたが患者さんの回復をじっくりと見守り、生活に密着した看護を通してやりがいを感じたいのであれば、リハビリ病院は最適な職場と言えるでしょう。

一方で、医療処置のスキルを最優先したい、体力的な負担を避けたいという場合は、他の選択肢も検討することをおすすめします。

この記事が、リハビリ病院で働くことを検討されている看護師の方にとって、有益な情報となれば幸いです。

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